中学受験における親の役割

中学入試

中学受験は親子の二人三脚だとよく言われます。実際、親が裏方として果たす役割は大変重要なものだと言えるでしょう。しかし、かつて自分が中学受験を経験した親であっても、親として子供の中学受験をサポートする立場になるのは初めての経験です。

玄々舎にもそうした親子からの相談がよくあります。自身は最難関中学に合格し、東大に進学した親御さんでも、自分の子供の中学受験となると話は別のようです。塾との関わり方や関与度合いについて、どのようにすればいいのか悩んでいる人は多いのではないでしょうか。そこで今回は中学受験合格に必要な能力を紹介し、その中で親が積極的にサポートすべき部分を説明したいと思います。

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中学受験合格に必要な能力

まず中学受験で成功するために必要な7つの能力を確認しておきましょう。

  1. 主体性
  2. 忍耐力
  3. 処理能力
  4. 思考力
  5. 好奇心・向上心
  6. 自己管理能力
  7. 自己認識力

このうち、親がメインでサポートすべきなのは6の「自己管理能力」と7の「自己認識力」です。1〜5は子供をメインとして親は裏方に徹してサポートをする必要がありますが、6〜7を小学生が自力で行うのは少々無理があります。子供の自主性を尊重しながら、二人三脚で取り組みましょう。

以下では、6の自己管理能力と7の自己認識力について、少し詳しく解説したいと思います。

自己管理能力

自己管理能力には学校や塾に行く際の持ち物管理だけでなく、プリント整理や日々のタスク管理、体調管理まで含まれます。持ち物管理は自分で行うようにすべきですが、プリント整理やタスク・体調管理まですべて小学生に任せると言うのは無茶な話です。

では親が実際にどんなことをやるべきなのか、1つ1つ具体的に見ていくことにしましょう。

その日にすべきタスクを毎日書き出す

子供にその日のタスクをすべて考えてもらい、その通り実行してもらうのは至難の業です。大抵の子供は得意な教科ばかりやったり、何をしようか考えるうちに時間が過ぎ去ったりしていくことでしょう。その日すべきタスクを子供に提示してあげるのも親の大切な役目です。すべて親が勝手に決めてしまうと、子供の自主性が育ちませんから、毎週末に親子で相談しながらおおよその予定を決め、それに基づいて親が優先順位を判断し毎日の予定を組み立てていくといいでしょう。

両親が共働きのご家庭であれば、毎朝ホワイトボードにその日やるべきことを具体的に書き出しておくようにするといいと思います。ホワイトボードがない場合は、連絡帳のようなものを作ってその日のタスクを書き出したページを開いておくといいかもしれません。1つタスクが終わるごとにそこに線を引いて消すようにすると、子供がゲーム感覚で勉強に取り組むことができるようになるでしょう。

プリント整理

大手の中学受験塾などでは、毎回各教科で大量のプリントが配布されます。子供の中学受験を経験したことのある親ならおわかりでしょうが、放っておくとすぐにプリントの山ができてしまうのです。大人でさえ苦戦するものを、小学生の子供に管理できるわけがありません

これらのプリントは親がきちんとファイルにまとめるなどして管理しておく必要があります。問題は、ただまとめておくだけではいざと言うときに欲しいプリントが見つからないことです。塾のテスト前や半年〜1年前にやった内容を復習しようと思ったけれど、見つからなくて諦めたと言う経験がある人も多いのではないでしょうか。

おすすめの解決策は、プリントを受け取ったらその日のうちにスキャンしてしまうことです。日付や教科、内容をファイル名に記載しておけば後で確認したいときにすぐ見つけられますし、元のプリントをなくしてしまってもプリントアウトして何回も復習することができます。スキャンする手間さえ我慢すれば、どんどんと増えていく段ボール箱ともおさらばです。

睡眠時間の確保・睡眠の質の向上

多くの小学生は基本的に真面目です。塾などの課題が終わらない時は、夜遅くまで起きてでも片付けようとします。中には眠気と戦い、頭をガックンガックンさせながら課題に取り組んでいると言う子供も少なくありません。特に塾の課題の量とレベルがその子の処理能力を超えている時は注意しましょう。どこかで親が線引きをしてあげる必要があります。

眠気と戦いながら頑張る姿は称賛に値するのですが、残念ながら学習効果という点ではほとんど意味がありません。夜やった学習内容を翌朝ほとんど覚えていない生徒さんも多いようです。こうした子供は塾の課題を終わらせることが目的となってしまっています。

せっかく勉強したのにそれが成果につながらないのであれば意味がありませんよね?夜に眠い目を擦りながら取り組むくらいなら、さっさと寝て翌朝にスッキリした頭で残りを片付けるべきです。それでも終わらないなら、それ以上やる必要はありません。睡眠時間と塾の課題を比べたら、明らかに前者の方が大切です。

睡眠は記憶や集中力に直結する要素です。睡眠時間が不足する、あるいはストレスなどで質が低下すると、すぐにパフォーマンスに影響が出ます。努力は認めつつ、絶対に夜更かしなどはさせないようにしましょう。

体調管理・生活習慣の維持

体調管理・生活習慣の維持も親の大切な役目です。季節の変わり目やストレスなどで子供が体調を崩すことや、起床時間や就寝時間に影響が出ることがあります。特に秋以降、気温が下がるにつれて朝起きれなくなってしまうお子さんも多いようです。

就寝時間は多少ばらつきがあっても良いのですが、起床時間は固定するようにしましょう。そうするだけで、生活習慣の乱れをおさえることができます。生活習慣の乱れはなるべく秋の早い段階までに修正しておいてください。寒くなってから直そうとしてもなかなか難しいからです。

自己認識力

自己認識力とは現在の自分の実力を客観的に認識する力のことです。受験においては、自分と目標(志望校)との距離を常に測っていかなければいけません。

子供の実力を認識し、志望校との距離を測るためにどんなことをする必要があるのか見ていきましょう。

普段の勉強の理解度確認

普段の勉強ではノートがきちんと書けているか、ケアレスミスが多くないかなどをチェックする必要があるでしょう。どんなに真面目な子でも、答え合わせや間違い直しなどをついサボろうとしてしまいます。場合によっては問題集を解いたフリをして済ませようとすることもありますが、それは仕方ないことなのです。それに対して怒っても得るものはないので、しっかりと親がチェックするようにしましょう。

子供が忙しいときや疲れているときは、答え合わせを親が代わりにやってあげてもいいと思います。ただし、その場合も解き直しは必ず子供に確認しながら、親子で一緒にやるようにしましょう。なにも横にべったりくっついている必要はありません。一般に親が熱心に教えようとすればするほど、子供は受け身になり、主体的に勉強することができなくなるからです。横にいる時は、一緒に考えると言う気持ちで、子供に説明してもらいながら勉強を進めるようにするといいでしょう。

塾の授業の理解度確認

塾の授業がきちんと理解できているかを判断するのも親の役目です。子供に「わかった?」と質問するのはやめましょう。子供はそう聞かれると、よくわかっていなくてもつい「わかった」と言ってしまうからです。

授業の理解度を判断するためには、塾のテキストやプリントに残っている子供のメモやノートを見て判断するしかありません。たとえば算数でプリントのメモやノートが乱雑で何が書いてあるかわからない、あるいはほとんどメモがない場合は要注意です。授業内容が理解できず、丸写ししているだけという可能性があります。

塾のテスト

まず、塾のテストに一夜漬けの丸暗記で臨んでいるようであれば要注意です。丸暗記で点数が取れるのは小5の1月までと考えておきましょう。それ以降は範囲が広くなるか、全範囲からの出題になるので、丸暗記では到底通用しません。よく小5の間は上のクラスにいたのに、小6になってから徐々にクラスが下がっていってしまう人がいるのはこれが原因です。詰め込み式の丸暗記でテストに対処していると、実力がないのに、親も子も「このやり方でいいんだ」と思ってしまいます。

塾のテストを活用する上では、予め目標設定と学習計画の策定を行い、それに沿って準備を行うことが大前提です。目標と計画がなければ、テスト後に検証・改善を行うことができません。漫然と準備をして、漫然と結果を眺めてそれで終わりです。これではいつまで経っても成績の向上は望めません。

目標設定や学習計画の策定は受験本番の予行演習だと思いましょう。毎月のテストのための準備であれば、せいぜい1ヶ月というスパンで考えますが、それを長くしていけばそのまま受験準備につながるということです。

模試の結果分析

模試は自分の現在の実力を測るために最も役立つ情報源です。模試で大切なのは点数ではありません。自分の苦手分野・得意分野を分析し、復習を行うことです。受けて受けっぱなしでは何の意味もありませんので注意しましょう。

模試の点数や平均点に一喜一憂する必要はありません。点数や平均点は問題の内容や受験者によって毎回変動するからです。それに、いくら嘆いたところで点数は変わりません。大切なのは、結果を受けてどのように行動するかだと考えるようにしてください。自分に不足している部分を発見し、次回にそれが活かせればそれでいいのです。もし見るのであれば、点数と平均点との差や、偏差値、順位などに目を向けるようにしましょう。集団の中での自分の位置を確認することができます。

模試の結果分析にあたる部分は子供だけではまずできません。模試を受けたらすぐ(できたらその日中)に親子で一緒に話しながら結果を確認するようにしてください。解けなかった問題やなんとなく解いてしまった問題は徹底的に復習し、完璧に解けるようにしておかなければいけません。また、苦手分野と得意分野を分析し、分析に基づいてその後の方針や学習計画を修正する必要があります。

最後に

今回は中学受験で親が果たすべき役割についてまとめました。思っていたよりやるべきことが多くて驚いている方も多いかもしれません。しかし、これらのことは難関校に合格した親御さんたちの誰もがやっていることです。特に小6になってからの1年間は親も覚悟を決めて取り組むようにしましょう。

玄々舎の学習コンサルティングサービスでは、各種分析や分析に基づく改善策・学習計画の提案などを行っています。自分では詳細な分析や学習計画の策定ができないという親御さんはぜひご利用をご検討ください。

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