時間帯別 おすすめ学習法

学習法

自分の勉強法にいまいち自信が持てない朝起きて何となくその日に勉強することを決める、という人は多いと思いますが、1日の中でも時間帯別で最適な学習法があることはご存知でしょうか。

近年の脳科学の研究の進展により、これまでのような個人の体験談というレベルから一歩進んで、科学的な視点から脳の仕組みを活用した学習法というものを考えることができるようになりました。

今回は、これまで多くの生徒を指導してきた経験に加え、科学的知見も取り入れた時間帯別おすすめ学習法をご紹介したいと思います。個人差もあるでしょうし、学習法に絶対の正解はありませんが、脳の仕組み自体は人間である以上ほぼ共通です。学習法に悩んでいる人は、自分の感覚だけに頼るのではなく、一度科学的な視点から自分の行動を見つめ直してみてはいかがでしょうか。

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寝る1時間前

脳は睡眠中に記憶の整理・定着作業を行い、しかもその作業は寝る直前の記憶から遡って行われます。寝る1時間前頃からが暗記学習に最適な時間帯だと言われるのはこのためです。

寝る直前に暗記学習をすることで、余計な情報を入れることなく、すぐに脳に整理・定着作業を行わせることで定着効率をアップさせることができます。また、記憶の定着率を上げるためだけではなく、スマホやタブレットなどのブルーライトを発する機器を遠ざけ、睡眠の質を上げるためにも、この時間を暗記学習に使うのは理に適っていると言えるでしょう。

朝起きてすぐ

朝起きてすぐの時間帯は、すっきりした頭で計算問題のほか、前日の復習(特に前夜に取り組んだ暗記学習の復習)などをするのに最適な時間帯だといえます。学習内容を定着させるためには、インプット(=覚える)だけでなく、アウトプット(=思い出す)作業も必要だからです。

1回インプットしたくらいでは、脳はそれを記憶に値する重要な情報だと認識してくれません。脳に重要な情報だと認識(錯覚)させるためには何度も復習を行う必要がありますが、そのための第1歩として、まだ余計な情報が入ってきていない朝起きてすぐの時間帯を活用しましょう。

午前中

大体起床4時間後(7時に起床した場合は11時)くらいに、脳のパフォーマンスは1日の最初のピークを迎え、思考力や記憶力が高まる、と言われています。この時間帯には新しい分野や苦手な科目の勉強、難問などに積極的に取り組むといいでしょう。上述のように朝起きてすぐの時間帯に前日の復習をしていれば、午前中に勉強をすることは脳にとってそれほど負担にならず、エネルギーを節約することもできます。

勉強であれ仕事であれ、重要なことはなるべく午前中に取り組むことが大切です。質の高い睡眠をとり、脳のエネルギーが十分に残っている間に、脳に高い負荷がかかる作業をこなすようにしましょう。

脳のパフォーマンスを上げるという意味では朝ご飯をしっかり食べることも大切です。朝食を取る習慣のない人はバナナ一本でもいいので、食べてから勉強に取り組むようにしましょう。

午後

一般に起床後8時間後と22時間後は脳内に睡眠物質がたまり、眠気が出やすい時間帯といわれています。たとえば7時起床の人であれば、15時と翌日5時が眠くなりやすい時間帯、ということです。この時間帯は脳のパフォーマンスも低下するので、散歩や整理整頓、調べものなどの単純作業を行うようにしましょう。

単純作業を行っていると、脳は睡眠中のように記憶を整理するモードに入りやすいそうです。散歩中など、時間をかけて取り組んでいた難しい問題の答えが急にひらめく、という話をよく聞く背景にはこうした理由があるのかもしれません。

また、この時間帯に10~20分の仮眠(いわゆるパワーナップ)を取り入れることで、脳内にたまった睡眠物質が分解され、その後の作業効率が上がることが報告されています。ただ、30分以上寝ると今度は夜の睡眠が阻害されてしまうため、注意が必要です。

夕方~夜

起床からおよそ10時間後(7時に起床した場合は17時頃)に脳のパフォーマンスは再活性化し、午前中に続いて2度目のピークを迎えます。午前中のピークと違う点は、特に処理能力が高まる(処理速度が上がる)という点です。こうした特性を利用し、夕方の時間帯は得意分野の勉強や、復習問題演習学校の宿題などにあてましょう。これらは夕食前までに終わらせてしまうのが理想的です。

「夜型なんです」とか「夜の方が集中しやすくて勉強が進む」という人を良く見かけます。しかし、特に成績が伸び悩んでいる人の場合、夜に勉強が進んでいると感じるのは単なる錯覚であることが多いものです。注意力も低下してきてミスも増えますから、実際には思っているほど効率的に勉強できていません。深夜にとてもいいアイディアだと思って書いたのに、翌朝見直すと「なんでこんなことを書いたんだろう?」と感じた経験がある人は多いのではないでしょうか。

なぜ効率的に勉強できないかというと、規則正しい生活を送っていれば脳は夕食後に睡眠に向けての準備を始め、徐々にパフォーマンスが低下していくからです。脳のエネルギーという観点から見れば、夕方までに1日分のエネルギーをほとんど使い果たしているわけですから、自然なことだといえるでしょう。

夕食前までにやるべきことはなるべく終わらせ、夕食後は各自でお風呂などのリラックスタイムを作ってストレスの軽減を図ることも、長期にわたって勉強を継続する上では重要なことです。毎日がむしゃらに勉強をしているだけでは長続きしません。勉強の基本は毎日少しずつでもコツコツ続けることですから、長期的に勉強を継続できるよう、自分にとって無理のない環境を整えることが大切です。

最初に書いたように、寝る1時間前からの時間帯は暗記学習にあてて、記憶が新鮮なうちに1日の勉強を終えるようにしましょう。

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