計算ミスの原因と対処法〜計算ミスはどうすればなくせるか〜

学習法

試験や模試などで計算ミスしたときに「ケアレスミスだから気にしないでおこう」とか「単なる計算ミスだからなんとかなるだろう」で済ませてしまう人は多いのではないでしょうか?

計算ミスは多くの人が悩まされる問題でありながら、同時に多くの人が「何と無く」で片付けてしまう問題でもあります。しかし実は、計算ミスはしっかりと原因を分析して対策を講じないといつまで経ってもなくなりません。それどころか、基本的なところでのミスを何となく放置したまま先に進むと、気づいた時にはどこがわからないのかもわからなくなり、問題を解決するために多くの時間を要することにもなります。

計算ミスをなくすことは試験や受験において極めて重要なことです。計算問題で取る5点も超難問を解いて得られた5点も、受験においては全く同じ価値を持つ5点であり、ほとんどの人が解けないような超難問が解けたからといって、それだけで合格できるわけではありません。

特に中学受験においては多くの難関中学で計算問題が出題され、しかも1問1問の配点が大きいため、計算をいかに素早く正確に行えるかで合否が分かれると言っても過言ではありません。

計算以外の問題や高校受験、大学受験でも同じです。記述式問題でも途中計算で間違えれば正解にたどり着くことはできませんから、せっかく解法が合っていたとしても減点されてしまうことになります。穴埋め式の問題であれば問答無用で0点となります。

今回は多くの人が悩んでいる計算ミスの原因と対処法についてまとめました。自分がどの原因に当てはまるのか、どうやって改善していったらいいのか、ということを意識しながら読んでいただければ幸いです。

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計算ミスの原因と対処法

基本的な計算力が身についていない

原因分析

そもそも基本的な計算力が身についていないという根本的かつ大きな問題です。算数や数学の計算はそれまでの学習内容を土台にして、その上に次の学習内容が積み上がっていくという形で進んでいきます(もちろん計算以外もですが)。基礎の部分が疎かになっていると、次の学習する内容をスムーズに積み重ねていくことができず、結果としてやたらに時間がかかってやる気が削がれるうえにミスが多発するという悲しい事態が起こるのです。

高校数学の場合、数Ⅰの内容をきちんと理解し、計算を素早く正確にこなせるようになっておかないと、その後の数学の学習はもちろん、大学受験にも支障をきたします。それだけでなく、中学数学の計算で躓き、それを引きずっているという人も少なくありません。複雑な文字式の計算になるとやたらと時間がかかってしまう、ミスが増えるという人は一度きちんと確認しておいた方がいいと思います。

中学生の場合、圧倒的に多いのは中1の文字式で躓いてしまう人です。それだけでなく、そもそも小学校高学年で習う計算が怪しい人も多く見かけます。文字式に躓いているようで、実は分数の計算ができていない、というようなことが少なくありません。小学校高学年の計算や文字式で躓くとその後のあらゆる分野の学習に支障をきたしますので早めの対処が必要です。

中学受験を控えた小学生の場合、特に苦手とする人が多いのは分数の足し算・引き算、小数の割り算・掛け算、□を求める問題などです。時間がかかってしまう、ミスが多いという人は、まずそれぞれの計算を徹底的に練習し、その後に融合問題を解くようにするといいでしょう。無理をして融合問題ばかりをやってもあまり効果はありません。

対処法

時間がかかり、自分にとって難しいと感じる計算を徒らに繰り返しても改善は望めません。多くの場合、やる気と自信を喪失して事態はより悪化します。

ある分野の計算問題がどうしても難しいと感じたら、まずはその計算を各要素に分解し、自分がどの部分で躓いているのかをしっかり見極めることが大切です。それができなければ対応策を講じることもできません。

小学生であればまず1学年前、中学1〜2年生は小学校の計算まで戻る必要があります。もちろん高校生でも必要とあらば小学校の計算まで戻る必要があるでしょう。自分がストレスなくすらすらできる問題まで戻り、成功体験を積み重ねながら問題を解決していかなければなりません。遠回りのように見えて、結局はそれが問題解決への一番の近道なのです。

書くべき途中式を省略し必要のない途中式を書いている

原因分析

計算問題が苦手な生徒さんのノートを見ると、計算を進める上で書いておいたほうがいいと思われる途中式を省略し、逆に不必要と思われる途中式を書いている事例が多く見受けられます。途中式は多すぎてもいけませんし、少なすぎてもいけません。多すぎると時間がかかる上に見直しがし辛くなりますし、少なすぎると後で復習するときにその時の自分が何を考えていたのか分からず困ってしまうからです。

対処法

まずは問題集や参考書の解答・解説などを参考に少し丁寧すぎるくらいに書いてみることをお勧めします。ただ、いつまでも丁寧に書いていると面倒ですし、時間がかかって仕方ありません。ミスがなくなってきたら、だんだん省略できそうなところを省略していきましょう。暗算も積極的に活用すべきです。

省略しすぎてミスが増えた場合は、また調節する必要があります。最終的には自分で試行錯誤を繰り返しながら、最適な方法を見つけるしかありません。どこまで省略可能かについては自分1人ではなかなか判断がつかないこともあるでしょう。そんなときは適切な指導者に相談をしてアドバイスしてもらうといいと思います。

いきなり解き始めてしまう

原因分析

問題文をしっかり読まずに解き始めた結果間違えてしまったり、途中で何を求めているのか分からなくなってしまったり、という生徒さんは少なくないようです。これは計算問題に限ったことではありません。早く解こうと焦ってしまうのかもしれませんが、目的地も決めないまま走り始めて結局迷子になってゴールにたどり着けないようでは、その間に費やした時間が無駄になってしまいます。

対処法

問題を見たらまずどのように解くか方針を決め、計算問題であれば答えがどれくらいの数字になるのかおおよそ予想をしてから解き始めるようにしましょう。答えをある程度予想しておくことで、それとかけ離れた数字が出た場合、どこかで計算ミスをしているのではないかと気づくことができます。慣れないうちは予想が外れることも多いかもしれませんが、数をこなしているうちに徐々に精度が上がっていくことを実感できるはずです。

いきなり解き始めないという姿勢は、試験全体を通しても言えることです。試験が始まったらまず全ての問題をざっと見て、おおよその時間配分や優先順位を決めてから解き始めるようにしましょう。これも訓練を重ねるうちに少しずつできるようになります。

字が雑すぎる

原因分析

字を雑に書きすぎて写し間違えたり、自分の書いた字を見間違えたりという人はよくいます。多くの場合、雑に書くのは考えがまとまらないうちに書き始めているからです。思いつくままあちこちに計算式を書き散らかして、結果的に確認不可能な状態に陥ってしまいます。これでは試験中に見直しをしようと思ってもできませんし、後で解き直そうと思っても自分がどこをどう間違えたのか振り返ることができません。

注意しなくてはならないのは、これが問題となるのはあくまで計算ミスが多い人の場合のことだということです。世の中には乱雑な書き方をしているようでも計算は合っているという人も一定数います。雑な書き方に見えても計算ミスがないのであれば、本人の頭の中ではきちんと整理されている可能性が高いので、無理に矯正しようとしないほうがいいでしょう。

対処法

これはいつも私が生徒さんに言っていることなのですが、無理に字を綺麗に書こうとする必要はありません。それより、自分にとっても他人にとっても読みやすいよう丁寧に書くという心がけが大切です。試験の答案であれば採点者のことを考えるといいかもしれません。採点する人にとって読みやすい字を書くよう心がければ、そこまで乱雑な字にはならないでしょう。

また、普段から復習する習慣をきちんと身につけておくことも大切です。復習するためには、自分の書いたものを見直す必要があります。そんなときに自分の書いた字や数字が自分でも判別できないようなものであれば余計な時間がかかりますし、復習になりません。復習の効率を高めるためにも、見やすく書くように心がけましょう。

時々、小さく丁寧に字を書こうとしてかえって時間がかかっている、あるいは見直しがしづらいという人も見かけます。雑すぎるのも考えものですが、丁寧ということにこだわりすぎることもまた好ましくありません。要はバランスの問題です。

自分が苦手な箇所を把握していない

原因分析

苦手な計算や計算する際に間違えやすい箇所は人それぞれです。そういった箇所には特別の注意を払う必要があるのですが、そもそもどこで間違えやすいのか認識していない人も多く見かけます。注意すべき箇所がわからないままいつも同じことを繰り返していると、いつまで経ってもミスは減りません。

対処法

まず自分が苦手とする計算や間違えやすい箇所をきちんと認識しておく必要があります。自分で勉強する際にきちんと解き直しや分析をして、自分の苦手箇所を把握しておきましょう。苦手な計算が出てきたら、いつもより少し注意深くなる必要があります。最初は煩わしく感じるかもしれませんが、こうした取り組むを続けていれば慣れてきますし、そのうち意識しなくても自然とできるようになるので大丈夫です。

自分なりの計算の工夫がない

原因分析

自分が学校などで習った通りの解き方を愚直に貫く人もよく見かけます。確かに最初に習う解き方は基本ではあるのですが、いつまでもそれを続けていれば良いということでもありません。基本はあくまで基本であって、それが身についた後はそれぞれの学習者が自分なりに工夫をすることが前提となっています。

例えば、習ったばかりの頃は解くのに10分かかっていた計算があるとしましょう。もしそれを解くのにいつまでも10分かかるままだったとしたら、次のステップに進んだときにかかる時間がどんどん増えていってしまいます。最初は10分かかっていても、そのときに練習を積み重ねて2〜3分で解けるようになっておかないと、次のステップになかなか進めないということです。

対処法

計算練習をするときは何も考えずに惰性で取り組むのではなく、常にもっと効率的な解き方はないか、(誤解を恐れずに言えば)もっと楽する方法がないか、と考えながら取り組むことが重要です。例えば、暗算で済ませられるところはそれで済ませればいいでしょう。他にも、「20×20」くらいまでの平方数や、「7!」くらいまでの階乗の計算結果は覚えておくと便利でしょうし、同じような計算を繰り返す中でよく出てくる数字は自然と覚えてしまうと思います。こうやって自分の手札を増やしていくと計算がグッと楽になるはずです。

誰だって面倒な計算は嫌でしょうし、できることなら楽をしたいという気持ちがあるのは自然なことだと思います。ただ漫然とやるのではなく、常に向上心を持って取り組むことが必要です。

制限時間を設けずに解いている

原因分析

試験本番では制限時間や緊張からくる焦りなどもあって、普段通りの力を発揮するのは簡単なことではありません。試験本番で普段通りの力を発揮するためには、常日頃から本番を想定した環境で練習を積んで体を慣らしておくことが必要です。時間をかければ解ける、は本番では通用しません。

また、自分で勉強するときに時間に対する意識が低い人は、効率的に学習が進められないだけでなく、自分の解き方を改善しようする意識に欠ける傾向があります。制限時間というある種の目標があるからこそ、なるべく早く効率的に解こうとして、自分なりの工夫をするようになるのです。目標もなくだらだらとやっていては、向上は望めません。

対処法

計算問題に取り組むときはタイマーをセットしてから始めるようにしましょう。問題集によっては目標時間を記載しているものもありますが、それよりも若干短いくらいの制限時間を設定するのがコツです。少し厳しいくらいの制限をつけて練習を繰り返すうちに、脳や体が慣れてきます。最終的には最初に設定した目標時間の半分程度の時間でこなせるようになるでしょう。

まとめ

今回は計算ミスの原因と対処法について書いてきました。一口に計算ミスと言っても、その背後には実に多くの原因があることを知って驚いた人もいるのではないでしょうか。どれか1つのみが原因ということは少なく、いくつかの原因が重なった結果ミスにつながっているというケースがほとんどです。

ただ、どうか誤解しないでいただきたいのですが、ミスをすること自体は悪いことでもなんでもありません。人間は失敗から多くのことを学ぶことができるからです。大切なのは、失敗したと感じたときに何となくで済ませるのではなく、きちんと原因を分析し、失敗から学ぼうとする姿勢を持ち続けることなのだと思います。

ここであげた各原因について、個人やご家庭で分析するには限界があるかもしれませんが、これらのことを意識するだけでもだいぶ取り組み方が変わってますし、応用可能な部分も多くあるはずです。初めから計算ミスがまったくない人などまずいません。計算が得意な人も、ミスを重ねる中で原因分析と修正を繰り返した結果、得意といえるまでの状況に到達したのだと言うことができます。

現在計算ミスが多い人も、きちんと原因を分析し、対処法を講じることができれば必ずミスを減らすことができるようになるはずです。そしてそれは、目標達成に向けての大きな一歩となることでしょう。

この記事が計算ミスに悩む多くの人にとって、その原因を分析し悩みを解消するために役立てば何よりです。

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