【共通テスト】「数学Ⅰ・数学A」 基本情報と対策

大学入試

いよいよ2021年度から大学入学共通テスト(以下、共通テスト)が開始されます。初回ということで情報も不足しており、どのように対策をすればいいのか不安に思っている人も多いのではないでしょうか。

そこで、今回は「数学Ⅰ・数学A(以下、数学Ⅰ・A)」についての基本情報と、試行調査の問題分析や分析に基づく対策をまとめました。これまでのセンター試験とはずいぶん様変わりした問題が出題されることが予想されますので、類題を解くなどしてしっかりと対策を立てておきましょう。この記事が、共通テストを受験する受験生のみなさんのお役に立てば何よりです。

なお、ここでは主に試行調査が実施された「数学Ⅰ・A」のみを取り上げます。

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基本情報

まずは基本情報を確認しておきましょう。科目や解答時間、配点は以下の通りです。

教科グループ出題科目解答時間配点
数学「数学Ⅰ」「数学Ⅰ・数学A」70分100点

問題構成と配点

2回の試行調査と2020年度本試験の問題構成と配点は以下の通りです。センター試験では必答問題が各30点、選択問題が各20点という配点になっていましたが、共通テストでは必答問題での配点が一律にならない可能性もあるので注意しましょう。

 

場面設定・設問形式

記述式問題が延期(消滅?)となった今、センター試験と共通テストの一番大きな違いは問題の場面設定だということができます。試行調査でも、生徒同士の会話文を通して考察を深めたり、コンピュータのグラフ表示ソフトや表計算ソフトを利用して考えたりという設定の問題が出題されました。

また、既知あるいは未知の定理や公式の証明・考察などを行う問題も多く見られます。中には大学で学ぶような高度な数学的背景をもとに出題された問題もありましたが、丁寧な誘導が与えられますので、冷静に考察していきましょう。

場面第1回試行調査第2回試行調査
会話文1〔2〕・2〔2〕・42〔2〕・3・5
ICT活用1〔1〕・41〔2〕
実用的2〔1〕・2〔2〕・31〔3〕・4
公式や定理の考察・証明1〔2〕・41〔4〕・5
高度な数学的背景53・5

問題の分量

問題形式が変更されたことにより、問題の文章量は大幅に増加しました。試験時間が10分長くなったとはいえ、それ以上の割合で文章量が増加しています。受験生にとっては例年以上に時間との戦いになりそうです。

2020年度
本試験
第1回
試行調査
第2回
試行調査
18ページ32ページ25ページ

難易度

第2回試行調査の平均得点率が約30%だったことを受け、それよりは多少易しめに調整される可能性があります。ただ、基本的には、場面設定や設問形式の変化によってこれまでのセンター試験よりは難化する、と考えておいた方が良さそうです。

第2回試行調査の問題分析

第1問

〔1〕集合・命題

集合に関する命題を記号を用いて表す問題と、命題が偽であることを示すための反例を選ぶ問題の独立した2つの小問からなっています。(2)のような問題では、条件を一般化してから選択肢を見るようにしましょう。選択肢を1つ1つ確かめていると時間が掛かります。

〔2〕2次関数・2次方程式・2次不等式

2次関数のグラフを変化させたときに、2次方程式や2次不等式の解がどう変化するかを問う問題です。問われている内容自体は頻出のものですが、コンピュータのグラフ表示ソフトを用いて考える場面が想定されており、一瞬戸惑った人が多いかもしれません。(2)は独立した問題としてではなく、(1)との関連を意識しながら解けるといいでしょう。

〔3〕三角比

三角比を用いて、建築基準法で定められている基準から、階段の踏面についての条件を考察する問題です。小学校と高校の階段の比較という、日常に関する題材と言えます。踏面26cm以上となっている条件を見落とさないように注意しましょう。

〔4〕正弦定理

正弦定理の証明問題です。三角形の形状を変えながら考察をしていきます。誘導が丁寧なので、証明方法を覚えていなくても、きちんとリード文を読み取ることができれば正解にたどり着けるでしょう。

第2問

〔1〕余弦定理・三角形の面積

直角三角形の辺上を移動する3つの動点によって作られる線分や三角形について、線分の長さや三角形の面積を求める問題です。(1)の(i)は条件より各動点の速さを出せば、あとは余弦定理と面積公式を利用するだけということに気づけるでしょう。(i)では具体的な時刻に関する問題を扱ったのに対して、(ii)では任意の時刻について考察することで問題を一般化しています。(2)は独立した問題として解き直してもいいのですが、(1)の結果を利用することで計算量を減らすことも可能です。

〔2〕データの相関・共分散・相関係数

表計算ソフトを利用する学習場面を想定し、2つの変量の平均値、標準偏差、相関係数の値を求め、相関係数や相関係数と散布図の関係について考察させる問題です。(2)では変量yの値を変えることで、(3)では値の組の個数を変化させることで、相関係数について考察させています。(4)はこれまでの総括として、改めて値の組の個数が2のときの相関係数についてどのようなことが言えるのか考察するもので、相関係数と散布図の関係をイメージで捉えられている人は瞬殺できる問題です。普段から、機械的に数値を求めるだけでなく、自分が求めている数値の意味やそこにたどり着くまでの流れを意識して解くようにしておくといいでしょう。

ただ、実は(4)の問題は、(1)-(3)の流れとは関係なく答えを選ぶことができます。出題意図には反するかもしれませんが、(4)→(3)の順に解くことで多少(3)が解きやすくなるかもしれません。また、実際の試験においてもこのようなことが起こり得ることを想定し、途中で諦めないようにしたいものです。

第3問 条件付き確率

2つの箱から2人が順番にくじを引く場面を想定し、2番目にくじを引く人が当たりくじを引くためにはどちらの箱から引くべきか、確率を用いて考察する問題です。(1)は誘導に従えば答えが求まります。(2)は(1)での計算をもとに、他の事象についても確率を求めさせるものです。「異なる箱からくじを引くとき」の確率が具体的に与えられているので、(余裕があれば)検算を行うことで、自分のそれまでの計算方法が正しかったのか確かめることができます。(3)では(1), (2)の結果をもとに、最初に提示した問いへの解答を求めさせています。(1), (2)の結果や会話文を見れば選択肢は2つに絞れるので、あとは確認をすればいいだけです。

第4問 不定方程式

ある物体の質量を天秤ばかりと分銅を用いて量ることを通して、1次不定方程式の整数解について考察する問題です。(1)は分銅の個数を1次不定方程式の解として捉えるよう意識させる問題で、誘導に素直に従えば解けます。(2)は、M=1として(1)の不定方程式の特殊解を求める問題です。この方程式の両辺をM倍すれば、不定方程式の解を求めることができ、(3)ではM=20のときの解を求めさせています。(4)は不定方程式のx, yを変化させた場合、どのようなときに解をもたないかを考察する問題です。(5)の前半では天秤ばかりを用いて量ることのできないMの値について、3で割った余りに着目して考察させ、後半では前半の考えを利用してyの係数を2018としたときの値を求めさせています。前半の問題は書き出しても正解を求めることができますが、後半はさすがに厳しいでしょう。

第5問 合同・円周角の定理・三角形の3辺の大小関係

会話文を通して、三角形の各頂点からの距離の和が最小になる点について考察させる問題です。この点はフェルマー点トリチェリ点シュタイナー点とも呼ばれ、2次試験でも出題されることがあります。(2)は(1)で証明した問題1と先生から教えてもらった定理(トレミーの定理)を利用して問題2について考察するものです。(iii)までは同じ路線で解けます。(iv)は同様の議論が成立しない場合について考察させ、(v)ではさらにそれを発展させていきます。

対策

具体的な対策や心構えについて、全体に共通する「総論」と分野毎の「各論」に分けて説明します。

総論

時間配分に注意

問題文の文章量が増えた一方で、計算量自体は減ると思われますが、時間との戦いになることは確かです。考察する時間を確保するためにも、解法について悩んでいる暇はありません。典型的な解法を習得した上で、パターン認識力を高め、問題文を読んだら瞬時に適切な解法を選択できるようにしておきましょう。

本番では緊張や些細なミスから、思わぬところで時間がかかってしまうこともあります。普段通りの力を発揮するには、冷静さを保つことが大切です。時間に追われて焦ることがないよう、最初にざっと全体を見渡して、時間配分を決める練習をしておきましょう。満点を取る必要がない人、数学が苦手な人は早い段階で問題の取捨選択を行うべきです。自分の得意・不得意分野を認識し、早め早めの判断を心掛けるといいと思います。

計算の速度と精度を上げる

計算量が減るとはいえ、計算の速度と精度を高めておいた方がいいことに変わりはありません。マークシート方式の試験は、途中式を丁寧に書く必要がない反面、考え方が合っていても途中で計算を間違えたら0点になるという恐さがあります。計算力は極めて重要です。

選択肢を1つ1つ吟味する前に、満たすべき条件を先に考える

選択肢を見て1つ1つ計算したり、考えたりしていると時間が足りなくなる可能性があります。予め、答えが満たすべき条件を考え、それに当てはまる選択肢を吟味するようにした方がいいでしょう。必ずしもすべての選択肢を吟味する必要はありません。

教科書に載っている定理や公式の証明の流れや意味を確認しておく

教科書に載っている定理や公式の証明は必ず確認しておきましょう。共通テストでは誘導がありますので、すべて自力で証明できなくても構いません。その代わり、定理・公式の意味や証明の手順は理解しておく必要があります。意味や手順をきちんと理解していれば、問題で何を考察することが求められているのか早い段階で掴めるはずです。

各論

数と式

第2回試行調査では単独で出題されましたが、第1回試行調査では図形と計量や図形の性質の問題との融合問題という形で出題されました。特に、必要十分性を問う問題や命題の真偽を問う問題は融合問題としても出題される可能性が高いと思われます。

図形と計量

第2回試行調査では、なんと中問2題と融合問題として1題の計3題出題されました。日常に関する題材や考察問題など、いろいろなタイプの問題が出題されそうです。三角比と測量の関係などを考えれば不思議な話ではありません。問題演習をする際も、解いて終わりではなく、条件を変えるとどうなるか、ということを意識すると良いと思います。

2次関数

第1回、第2回の試行調査では、それぞれ中問2つで出題されました。第2回試行調査では融合問題としても出題されていますので、単独問題だけでなく、融合問題として出題される可能性も考慮しておく必要があります。また、2回の試行調査で共通していたのは、コンピュータのグラフ表示ソフトを使った場面設定がなされていたところです。具体的に値を代入してグラフがどう変化するかを考えれば、さほど難しい問題ではありませんが、センター試験にはなかった種類の問題ですから、人によっては類題を解いて慣れておく必要があるかもしれません。

データの分析

2回の試行調査では、いずれも第2問の後半に中問として出題されました。これ自体はセンター試験と同じです。内容を見ると、第1回試行調査では散布図や箱ひげ図から読み取る問題、第2回試行調査では表計算ソフトを利用した問題となっています。いずれも、予め与えられたデータを元に、設問ごとに考えれば解けたセンター試験と違い、ある課題に対して、どのようなデータが必要かということから始まり、展開されるストーリーに沿って考察を進めていく形の問題となりました。大きな流れを意識して解き進めることが重要です。

場合の数と確率

センター試験で定番だったのは、さいころやコイン投げ、カード、球を取るといった問題でしたが、第1回試行調査では、高速道路の渋滞状況という日常生活を題材とした問題が出題されました。第2回試行調査では、くじ引きを題材とした問題が出題されています。日常の事象を題材とした問題を出しやすい分野ですから、こうした事象に対してどうすれば数学的に考察できるか、普段から意識しておくといいでしょう。単純に数値を求めておしまいではなく、求めた数値に基づいて考察させるような問題が出される可能性もあります。

整数の性質

2回行われた試行調査では、いずれも不定方程式が出題されました。単に与えられた不定方式を解ければいいという問題ではなく、不定方程式の意味を考察させるような問題です。問題文を読み、与えられた状況の中で立式する能力も問われているとも言えます。流れを意識せず、漫然と解き進めていると、途中で何をしているのか分からなくなってしまう可能性が高いでしょう。

図形の性質

センター試験ではほとんどの問題が平面図形に関するもので、第2回試行調査でもそうでしたが、第1回試行調査では空間図形が取り上げられました。既知の図形の性質・定理から、新たな性質・定理を考察していく問題が多くなると思われます。空間図形対策も行っておいた方がいいでしょう。既知の定理の証明を再確認しておくことはもちろん、教科書に載っていない有名な性質・定理にも目を通しておくといいと思います。

問題集

『ハイスコア!共通テスト攻略』

分野別に基本事項を確認しながら、センター試験の過去問や試行調査の問題、オリジナル問題を解くことができる問題集です。基礎力に不安がある人や、苦手分野がある人はまずこちらで基礎固めを行った方がいいでしょう。基礎に問題がない人はいきなり『共通テスト実戦模試(Z会)』から始めても大丈夫です。

『共通テスト実戦模試(Z会)』

オリジナル模試5回分と第2回試行調査の問題が収録されています。『ハイスコア』で分野別の対策は十分できたので、場面設定や問題形式に慣れたいという人はこちらを選ぶといいでしょう。逆に、センター試験の過去問にも触れておきたいという人は『赤本』を選ぶといいと思います。

解説は『赤本』と比べるとあっさりすっきりという感じで、個人的には好感が持てます。ただ、数学が苦手な人にとっては説明不足と感じる箇所があるかもしれません。

『赤本』

「数学Ⅰ・A」と「数学Ⅱ・B」が1セットになっており、オリジナル模試各1回分、試行調査各2回分、センター試験過去問8年各13回分の問題が収録されています。センター試験や試行調査に関するデータはZ会のものより豊富です。センター試験の過去問にも触れておきたい人はこちらに取り組むといいと思います。

問題の解説はくどいくらいに丁寧です(笑)すべての選択肢について計算や説明を行ってくれていますので、数学が苦手な人でも分からないということはないでしょう。逆に、解説の分量が多すぎてどこがポイントなのか分からなくなってしまう人がいるかもしれません。実際の試験ですべての選択肢を吟味している時間はありませんので、参考程度に読んでおきましょう。

『予想問題パック』

数社から出版されていますが、今年はZ会のものを選ぶのが無難そうです。分野別対策や試行調査・過去問演習をした後に、最後の仕上げとして利用するといいでしょう。

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