勉強法における3つの基本原理

勉強法

勉強法に関する悩みは昔からあらゆる学習者に共通の悩みです。勉強が苦手な人は「どういう勉強法を実践したらいいのだろう」と考えるでしょうし、勉強が得意な人は「さらに効率的な勉強法はないものか」と考えるでしょう。そうした悩みに応えるかのように、これまで勉強法に関する数多の本が出版されてきました。一度は目を通した経験のある人も多いのではないかと思います。

しかし、残念ながら万人に共通の理想的な勉強法はありません。ですから、この勉強法を実践すれば絶対に勉強ができるようになる受験に合格できる、ということは言えませんが、実はすべきでない勉強法はあります。何をしなければいけないのだろうか、と考えている人は発想を転換して、何をすべきではないのだろうか、ということを出発点として考えてみてはいかがでしょうか。必ずそこには新しい発見があるはずです。

今回は、そもそも勉強法とはなんなのか、という話から始め、勉強法における3つの基本原理、そして原理に基づく3分類について考えてみたいと思います。

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勉強法とは

そもそも勉強法とはなんでしょうか。人によって捉え方は様々でしょうが、この出発点が違っていたらいくら説明しても共通理解は得られません。ここでは勉強法を、目的地に向かうための「方向性」であり、「速度」であると定義したいと思います(こうした定義や意味づけはあくまでここ限定の話ですから注意してくださいね)。「方向性」であり「速度」であるとはどういうことか、例を挙げて考えてみましょう。

たとえば、北の方角にある目的地に向かう場合を考えてみてください。目的地は北にあるわけですから、進むべき方向は当然北です。北に進むべきなのに真西に進んでいては、いつまで経っても目的地にたどり着けませんよね。うっかり南に向かったら地球を約一周することになります。真西ではないにしても北西に進んでいるのだとしたら、どこかの時点でそれに気付いて方向修正しないといけません。勉強においてこの「方向」を決定づけるのが勉強法だと言うことです。

また、北の方向に進むにしても、徒歩で行くのか、自動車で行くのか、はたまた飛行機で行くのかで目的地に到着するまでにかかる時間がずいぶん変わってきます。旅そのものを楽しみたいのであれば、のんびり歩いていくのも風情があっていいものですが、残念ながら多くの人にとって受験勉強はあまり楽しい旅ではありません(笑)どうせなら一刻も早く目的地にたどり着きたいと思うのが自然なのではないでしょうか。こうして目的地までたどり着くまでの「速度」を決定づけているのも勉強法です。

これらを踏まえて、勉強の成果(学力)と勉強法の関係を最大限単純化して以下の式で表してみました。本当は細かい要素や変数が無数にあるのですが、それらを考えだしたらきりがありません。あくまで思考の出発点となる式ですからシンプルに考えましょう。

(勉強の成果)=(勉強量)×(勉強法の二乗)

この式に具体的な数字を代入して考えてみてください。たとえば、勉強量の数値が「10」だとしましょう(後で説明するように勉強量は単純な勉強時間では測れませんので注意してください)。勉強法の数値については、効率的でもないけれど間違ってもいない普通の勉強法を実践している人を「1」、効率的な勉強法を実践している人は「2」、間違った勉強法を実践している人は「0.5」だとします。

するとどうでしょうか。同じ勉強量であっても、普通の勉強法の人の成果は「10」、効率的な勉強法の人は「40」、間違った勉強法の人は「2.5」と大きな違いが出てくることに気づくのではないかと思います。勉強法の違いだけで、同じ勉強量でもこれだけの差が出てきてしまうのです。これが1日の差だとすると、1年かけてできる差は膨大なものになります。

あの人はそんなに勉強をしているようには見えないのに、いつも成績優秀だな」と言う人は単に勉強量が多いだけでなく、効率的な勉強法を実践している人である可能性が高いと考えるべきです。仮に効率的に勉強している人の勉強量が半分の「5」だとしても、普通の人の勉強量が「10」の時よりも多い成果を得ることができます。効率的な勉強法を実践している人と同じ勉強量をこなしていては、いつまで経っても追いつけません。闇雲に勉強量を増やすのではなく、勉強法を見直すことこそが必要なのです。

もちろん、どんなに優れた勉強法を習得している人であっても、勉強量が「0」であれば成果は出ません。0に何をかけても0ですからね。そういう意味で言えば、勉強量は燃料のようなものです。燃料がなければせっかく優れた勉強法があっても目的地に向かって進んでいけません。

ここまでお読みいただいた方は、勉強法というものがどういう性質のものか、少し具体的なイメージが掴めてきたのではないかと思います。ここからはいよいよ勉強法を考える上で欠かせない3つの基本原理について考えていきましょう。

勉強法における3つの基本原理

基本原理というくらいですから、これはすべての学習者に共通するものです。最適な勉強法は人それぞれ違いますが、この原理を外れているものは最適な勉強法とは呼べません。3つの基本原理は以下のようなものです。

  • 時間対効果を意識する
  • 徹底的に復習する
  • 失敗から学ぶ

以下、それぞれについて少し詳しく見ていきましょう。

時間対効果

時間対効果という言葉は聞き慣れないかもしれませんね。「かけた時間(勉強時間)に対してどれくらいの成果が得られたか」と言うことを意味する言葉です。決して勉強時間=勉強量「ではない」点に注意してください。勉強量は勉強時間で計測するべきではありません。必ず成果で測るようにしましょう。

具体的に言えば、「今日は10時間も勉強しました!すごい頑張った!まる」ではなく、10時間勉強してどの科目のどの分野の問題をどれくらい解けるようになったのかを計測する必要があるということです。いくら時間をかけても、それに見合った成果が得られていないのであれば意味がありません。時間の無駄というものです。

今はアプリなどで自分の勉強時間を記録できるものもあり、実際に使っている人も多いと思います。そうしたアプリをモチベーションを上げるために使うのであれば良いのですが、使い方を間違えると逆効果になるので注意しましょう。というのも、しばしば勉強時間だけを気にしている人勉強時間を増やすこと自体が目的となってしまっている人を見かけるからです。

「自習室で10時間勉強しました」

という時、その10時間という数字だけでは意味を成しません。その時間でどれくらいのことができたのか、ということこそが重要であり、それらを冷静に検証し、反省すべきところは反省しなければいけないのです。時間をかけたからと言って必ずしもそれに応じた成果が得られているとは限りません。集中できずにぼんやり過ごしてしまったということもあるでしょうし、予定していた量をこなせなかったということもあるでしょう。それらすべてを確認し、必要であれば翌日以降の課題を再設定(方向修正)しなければいけません。面倒くさいと思うかもしれませんが、そうした毎日の積み重ねこそが、目的地に到達するためには必要なのです。

徹底的に復習する

勉強の本質は復習にあります。復習は学習内容の理解を深めるためにも、定着させるためにも必要不可欠なものです。人間は忘れる生き物ですから、いくら理解力のある人でも復習をしなければ学習内容は定着しません。

生徒さんに復習回数の目安を聞かれた時は「最低6回〜上限なし」と伝えています。効率的な勉強法を知っている生徒さんにとっては、復習を何回もやることなど当たり前のことですから、何の驚きもありません。それに対して勉強が苦手な人ほど「えっ!そんなにやるんですか!」とこちらがびっくりするほど驚きます。復習というものに対する認識が根本から違うのです。実際の復習方法については別の機会に書きたいと思いますが、1回1回の復習にかける時間を極力少なくして復習回数を増やすことが鍵だと思ってください。

「勉強をしているのに、いい点数が取れない」と言う人の場合、間違った勉強法で取り組んだ結果、復習回数が不足していることがほとんどです。英単語や漢字などの暗記分野であれば、1回の暗記学習に時間をかけすぎてしまっている場合もあります。たとえば、週に1回3時間(180分)かけて暗記学習を行うよりも、毎日15分(合計105分)コツコツやった方がはるかに効率的です。

この点に関しては、勉強には運動や音楽と共通している面があると考えてください(もちろん異なる面もあります)。運動や音楽で一定以上のレベルに達したければ、1週間に1日まとめて練習を行うのではなく、やる気があろうがなかろうが、気分が乗ろうが乗るまいが、毎日練習をしなければなりません。それを何年、何十年と続けた末の、膨大な努力の積み重ねがあって初めて結果が現れてくるのです。特に暗記や計算といった分野は運動や音楽の練習と一緒だと思っても差し支えないと思います。

人間は忘れる生き物であると言う大前提を決して忘れないようにしましょう。

失敗から学ぶ

人間は失敗から学ぶ生き物です。生きている限り誰もが多かれ少なかれ失敗を経験し、そこから学ぶことで成長していきます。失敗は成功の母であり、失敗なくして成長はありません大事なのは本番で成功することです。それまでの過程で失敗したからと言って、なぜそれを恐れる必要があるのでしょうか。むしろ失敗すれば自分の課題が明らかになるわけですから、「ここで失敗してラッキーだったな」と思ってもいいくらいです。

しかし、現実には失敗したり、できない問題があったりするとすぐに諦めて投げ出してしまう人がいます。その気持ちはわからないでもないのですが、勉強がどう言うものかまだわかっていないのでしょう。そもそもできない問題があるから勉強をしているわけです。すべての問題が解けるのであれば最初から勉強する必要はありません。わからない問題(課題)があれば、どうそれを解決していけばいいのか考えればいいだけです。そこにこそ勉強する意味があります。

また、効率的な勉強法を習得するための試行錯誤において失敗を避けて通ることはできません。新しいやり方に挑戦すると言うことはそれ自体、失敗のリスクを孕んでいます。しかし、失敗のリスクを恐れていてはいつまで経っても現状を打破して成功を得ることができません。失敗のリスクがあると言うことを前提に勉強を進めないと思うような成果は得られないでしょう。

定期試験や模試などでも同じことが言えます。定期試験や模試で大切なのは解けた問題ではなく、解けなかった問題です。解けなかった問題は、「何故解けなかったのか」、「準備が不十分ではなかったか」、「勉強法に課題があるのではないか」と言ったことを考えるチャンスを与えてくれます。そのチャンスを活かせるかどうか、それが合否の分かれ目ともいえるでしょう。

勉強法の3分類

ここまで述べてきた3つの基本原理に基づき、勉強法は以下の3つに分類することができます。それぞれ、自分がどれに当てはまるか考えてみてください。

  1. 自分に合わず、原理も満たしていない勉強法(×)
  2. 自分には合わないが、原理は満たしている勉強法(△)
  3. 自分に合っていて、かつ原理も満たしている勉強法(○)

言うまでもなく目指すべきは3ですが、そこまでたどり着ける人はなかなかいません。実際には、ほとんどの人が2と3の間で行ったり来たりを繰り返すことになるでしょう。勉強を頑張っているはずなのに全く成果があがらない人は、残念ながら1に該当します。

いずれにしても、まず自分がどれに該当するのか認識することが重要です。自分の現状を正しく認識することができれば、それに対する具体的な改善策を検討することができます。初めはなかなか上手くいかなくても、計画・実行・検証・改善という作業を繰り返していれば、少しずつ自分に合った勉強法を確立していくことができるでしょう。

3に該当する人もずっとそのままで安泰というわけにはいきません。勉強法というのはある目的、あるレベルに対して最適化されるものです。初めは3だった方法も、その後自分のレベルが上がるにつれて少しずつ効率が落ちてきて、いずれ上手くいかなくなる時がやってきます。勉強だけでなく、勉強法自体も常に改善をしていく必要があるということです。常に自分の現在地や目標との距離の確認を怠らないようにしましょう。

最後に

今回は勉強法とは何かということから始まり、勉強法に関する3つの基本原理、そして基本原理に基づく勉強法の3分類について説明しました。

これまでは具体的な部分(各論)に踏み込まず、全体の構造(総論)についての話をしてきましたが、今後は徐々に各論に触れていきたいと思います。記事を参考に皆さん一人一人が試行錯誤を通じて自分に合った最適な勉強法を見つけ出していただければ何よりです。

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