【大学入試】聖マリアンナ医科大学が第三者委員会から不正入試を指摘される

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2020年1月17日,聖マリアンナ医科大学が公式HPで入学試験に関する第三者委員会からの調査報告書および,それについての見解を公式発表しました。
第三者委員会は調査報告書で,平成27年度~30年度の聖マリアンナ医科大学の入学試験において,「差別的取り扱い」(つまり不正入試)があったことを指摘しています。

2018年7月の文部科学省官僚による汚職事件をきっかけに,その舞台となった東京医科大学を含む複数の大学の医学部で,女子学生や浪人生を不利に扱う不正入試が行われていたことが明らかとなり,大問題となったことをご記憶の方も多いと思います。
文科省からの不正入試に関する指摘に対して,以前から不正入試はないと(今も)主張し続けている聖マリアンナ医科大学でしたが,報告書の内容は不正入試があったことを裏付けるものでした。
今回はその驚くべき調査報告書の内容について,主要な部分をまとめてご紹介します。

第三者委員会の調査報告書や,それに関する大学側の公式発表大学HPから見ることができますので,ご興味のある方は是非ご覧ください。

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どのような点数操作が行われていたか

第三者委員会からの報告書で明らかになった中でも注目すべきは,「志願票・調査書による加点」の部分です。
志願票・調査書は出願時に受験生が提出するものですが,そもそもこれに配点があったこと自体これまで公表されていませんでした
聖マリアンナ医科大学の入試募集要項を見ると,一次試験が「英語100点,数学100点,理科200点」,二次試験が「面接100点,小論文100点」という配点になっており,合計600点満点と記載されています。
これを見た受験生は当然,「この600点で判定され,それ以外の判断材料はないだろう」と思うはずです。
ところが実際は一次試験・二次試験とは全く関係のないところで加点がなされ大幅な調整が行われていました。

それではここで,第三者委員会の報告書を覗いてみましょう。
公開されているPDFファイルは65ページありますので,全部読むのは大変です。
ここでは得点調整に関する数字とその小括が書いてある報告書p.40-44の内容をご紹介します。
この部分には平成27年度(2015年度)入試から平成28年度(2018年度)入試までの4年間分の入試の「志願票・調査書の採点結果とされる点数分布の分析結果」が記載されています。

「現役・1浪・2浪・3浪・4浪以上」(平成28年度~30年度は「その他」もあり)のカテゴリーに分けられ,カテゴリーごとに加点が加えられており,まず現役が有利になるよう年齢差によって調整が行われていたことが確認できます。
驚くべきことに平成30年度試験では女性の4浪以上が「-24点」,その他が「-80点」と大幅に減点されています。
さらに重要なのは各カテゴリーにおける男女差の部分です。
その部分だけ以下に列挙してみます。

平成27年度(2015年度):男女差18点
平成28年度(2016年度):男女差19点
平成29年度(2017年度):男女差60点
平成30年度(2018年度):男女差80点

平成27年度~28年度までは20点以下だった男女差が,平成29年度から急拡大していることが良くわかります。

さらに細かく見ていくと,平成30年度入試では現役男子に164点加点2浪女子には24点加点されています。
つまり,平成30年度試験において現役男子と2浪女子では,志願票・調査書の段階で既に140点もの差がついてしまっているわけです。
報告書ではこれらの分析結果をもとに,これは「性別・現浪区分に応じた一律的な点数調整の結果であったものと強く推認させる」(報告書p.45)と書かれています。

たとえば,学科試験の数学の配点は100点です。
極端な話をすると,数学で現役男子が0点2浪女子が満点を取ったとしても,他の科目の得点がすべて同じであれば,2浪女子は追い付けない計算になります。
現実的に学科試験でどれだけ頑張っても挽回できないような点差がついてしまっていたわけです。

この報告書を受けてなお,大学側が「差別の認識はない」としていることにはまさに開いた口が塞がりません。

調査結果公表日に関する問題

大学側がHPで調査結果公表日(1月17日)にも問題があります。
聖マリアンナ医科大学の願書出願締め切りは1月22日ですから,17日には大部分の受験生は既に出願を終えていたはずです。
受験生たちにとっては衝撃的だったでしょうし,いまさら他の私大に出願しようにも,既に出願が締め切られている大学もあるタイミングでの発表でした。
もっと前,たとえば2019年末に発表されていれば,受験生も出願先を変更するなどの対応ができたはずです。
悪意があるとまではいえないにしても,あまりに不誠実な対応であるといわざるを得ません。

聖マリアンナ医科大学の入試は1次と2次で2日あるため,この大学を受けると決めた場合,必然的に受けられなくなる大学も出てきます。
地方からの生徒さんは交通費や宿泊費の負担分もありますから,金銭的な損害も決して小さくはありません
大学側は「申し出た受験生には受験料を返還する」といっていますが,個別に連絡を取るのではなく,あくまで申し出た受験生のみです。
ここにも不誠実さが顔をのぞかせているような気がしてなりません。

それでも差別をみとめない大学側の姿勢

一番大きな問題は,こうした第三者委員会からの報告があっても,まだなお差別を認めようとしない大学側の姿勢です。
大学HPの公式発表にもある通り,「差別の認識はない」という文言や,調査結果を受け「意図的ではないにせよ、属性による評価の差異が生じ、一部受験者の入試結果に影響を及ぼした可能性があったとの認識に至りました」との文言があり,全く不正入試を認めようとしない姿勢が透けて見えます。
医師という,倫理観が重要視される職業人を育てる教育機関がこうした時代に逆行するような姿勢を見せ続けていることは残念でなりません。

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