記述式模試の採点方法の実態

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みなさんは記述式模試の採点がどのように行われているのか考えたことがあるでしょうか。模試ではA判定を連発しているのに本番では失敗してしまう人もいれば、模試ではずっとE判定だったのに志望校に合格する人もいます。本番に強い、弱いという要素もあるかもしれませんが、こうした現象はなぜ起こるのでしょうか。今回は模試の採点をしている人、採点基準などからその謎に迫ってみたいと思います。

結局延期となりましたが,2020年度の共通テストの国語と数学で導入予定だった記述式問題の採点の一部をアルバイトの採点者が担当することが分かり、特に共通テストを受ける中高生から大きな反発が起こりました。自分の人生を決める大事な試験の点数が訓練を受けたわけでもないアルバイトの裁量次第で決まってしまうわけですから、当然といえば当然です。記述式模試の採点方法の実態を知ることで、共通テストの記述式の採点方法に関する問題点がより明確になってくるのではないかと思われます。

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模試の採点をするのはどんな人か

模試が終わって回収された答案は、予備校の地区ごとに設けられた本部に集められます。その後、それらの答案の多くはアルバイトとして雇われた学生や社会人に回され、採点作業が行われます。

つまり、模試を受けた人の答案は基本的にアルバイトが採点をすることになるわけです。大学生になってから模試の答案採点バイトをやったことがある拙塾の元塾生に聞いたところ、採点中は缶詰め状態になるので大変ではあるものの、短期集中で稼げるのでなかなか割の良いバイトだったそうです。

採点基準はどのようになっているか

大学の入学試験の採点は基本的に大学の教員が行いますので、採点の質は保証されています。それに対して、予備校の模試は上述の通り多くの答案をアルバイトが採点するわけですから、採点の質を一定の水準に保つためには詳細な採点基準を作らなければなりません。

アルバイトは原則としてその採点基準に則って採点を行い、クレームがあった場合はそのアルバイトが聞き取りを受け、クレーム対応を行うという流れになります。適当に採点を行ったアルバイトにはクレーム対応というペナルティを課すことで、手抜き採点への抑止力としているわけです。もちろん、あまりにお粗末な採点を行うアルバイトはクビになるでしょうから、実際にそこまで手を抜く人はいないということになります。

実際の採点はどのように行われるか

では、そうした状況下でアルバイトの採点者が取る行動はどのようなものになるでしょうか。アルバイト側としては当然クレームがない方がありがたいわけです。そして、クレームが出るのはどういう場合かと言えば、基本的に点数がもっと欲しい場合のみとなります。よほどの志の持ち主でない限り、「この部分の採点は甘すぎるから、もっと厳しく採点して点数を引いてください」などと申し出る人はいません。

もうお分かりですね。全ての採点者がそうだとは言いませんが、アルバイトの採点者の多くが、特に判断に悩んだ時、与えられた採点基準の中でクレームが出ないよう最大限甘く採点しようとする方向に動く可能性が高くなるということです。

私が学生の頃、雑誌『大学への数学』の読者投稿欄に、「記述式模試の数学で、図をかいて考えたら答えだけはすぐに分かったが、解法が分からなかったので『ラメデータ(デタラメ)の定理』によって、と書いたら正解になっていた」という話が載っていました。この話の真偽のほどは定かではありませんが、そういうことが起こってもおかしくないのが模試の採点だということです。

一方で、実際の大学入試においてはほとんどの大学が採点に関するクレームを一切受け付けていません。採点者は余計な忖度をする必要がありませんし、採点に悩んだ場合は複数人で協議を行う場合もあります。アルバイトが採点する際に起きるような出来事はまず起こらないと考えて間違いないでしょう。

まとめ

今回は記述式模試の採点方法の実態についてまとめました。念のため申し上げておきますが、模試のアルバイト採点者が適当に採点しているということではありません。現実問題として採点者ごとの採点の質が均質でない以上、実際の入試問題における採点に比べて点数の振れ幅が大きくなる可能性が高い、ということです。その点は念頭に置いて模試に臨んだ方が良いでしょう。

模試の有効活用法についての記事でも書いたように、模試の結果は将来の予測にはあまり役立ちません。参考程度に考え、結果如何に関わらず復習が終わったらすぐに頭を切り替え、志望校に向けた準備を進めた方が建設的だと思われます。


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